不妊治療でかかった費用(保険適用・自費両方)は医療費控除の対象です。年間10万円以上の医療費(世帯合計)があれば、確定申告することで所得税が還付されます。e-Taxを使えばスマホ・PCから自宅で完結でき、還付金は約3週間で振り込まれます。
①医療費控除の基本:いくらから対象?いくら戻ってくる?
結論:世帯の年間医療費が10万円(総所得200万円未満の場合は総所得×5%)を超えた分が控除対象です。還付金は「控除額×所得税率」で計算されます。
計算シミュレーション例
約8万円
※住民税の軽減(40万円×10%=4万円)も翌年6月以降に反映されます。合計約12万円の節税効果。
約16万円
※住民税の軽減(70万円×10%=7万円)も加わり合計約23万円の節税効果。
💡 所得税率の目安
課税所得195万円以下:5% / 195万〜330万円:10% / 330万〜695万円:20% / 695万〜900万円:23% / 900万〜1,800万円:33%(復興特別所得税を含む場合は各税率×1.021)
②対象になる費用・ならない費用
結論:「治療を目的とした費用」は原則として対象になります。美容・サプリ・予防目的のものは対象外です。
| 費用の種類 | 対象 | 備考 |
|---|---|---|
| タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精の治療費 | ✅ 対象 | 保険適用・自費ともに対象 |
| 採卵・胚移植・凍結保存の費用 | ✅ 対象 | 保険・自費ともに対象 |
| 処方された薬の費用 | ✅ 対象 | 排卵誘発剤・ホルモン剤など |
| 不妊検査(血液検査・超音波・精液検査等) | ✅ 対象 | 治療に必要な検査 |
| 先進医療(ERA検査・二段階胚移植等)の費用 | ✅ 対象 | 自費部分も対象 |
| 通院のための公共交通機関の交通費 | ✅ 対象 | 領収書不要。記録が必要 |
| 市販の妊活サプリメント | ❌ 対象外 | 医師の処方なし・治療目的外 |
| 自家用車のガソリン代・駐車場代 | ❌ 対象外 | 公共交通機関のみ対象 |
| 美容目的の処置 | ❌ 対象外 | 治療目的でないものは対象外 |
| 健診・人間ドック(異常なしの場合) | ❌ 対象外 | 異常が発見され治療した場合は対象 |
不妊治療で受け取った助成金(都道府県・市区町村)・生命保険の給付金・高額療養費として支給された金額は、医療費控除の計算で支払った医療費から差し引く必要があります。差し引かずに申告すると過大申告になるため注意してください。
③e-Taxで確定申告する手順(スマホ・PC対応)
結論:e-Taxを使えばスマホまたはPCから自宅で完結し、税務署に行く必要がありません。還付金は約3週間で振り込まれます。
必要なもの(事前準備)
| 必要なもの | 用途 |
|---|---|
| マイナンバーカード | 本人確認・電子署名(e-Tax推奨) |
| 医療費の領収書(クリニック・薬局) | 医療費控除明細書の作成に使用。提出不要・5年間保管 |
| 源泉徴収票(会社員の場合) | 所得・源泉徴収税額の確認 |
| 還付金振込先の銀行口座情報 | 還付金の受け取り口座 |
| 健康保険組合の「医療費通知」(あれば) | 入力を簡略化できる。なくても申告可能 |
| 助成金・保険金の支給額がわかる書類 | 補填額を差し引くために必要 |
e-Taxの申告手順(スマホ版)
スマートフォンのブラウザで「国税庁 確定申告書等作成コーナー」を検索してアクセスします。「スマートフォンでe-Tax」を選択。マイナンバーカードを読み取り、マイナポータルと連携するとより簡便に手続きできます。
「所得税の確定申告書」を選択します。会社員で「医療費控除の申告のみ」であれば、「給与所得者の還付申告」として進めます。
会社から受け取った源泉徴収票の「支払金額」「源泉徴収税額」などを入力します。マイナポータル連携で自動入力できる場合もあります。
「控除の入力」→「医療費控除」を選択。「医療費の入力」では、病院・薬局ごとに「受診した人の名前」「支払先名」「支払額」を入力します。領収書1枚ごとではなく、同一の支払先ごとにまとめて入力できます。交通費もここで入力。
助成金・保険金・高額療養費として受け取った金額を入力します。忘れると過大申告になるため注意が必要です。
還付金を受け取る銀行口座を入力します。内容を確認してマイナンバーカードで電子署名を行い、送信(提出)します。申告書の控えはPDF保存しておきましょう。
✅ e-Taxなら還付金は約3週間で振り込まれます
e-Taxで電子申告した場合は、税務署の窓口提出・郵送(1〜2か月)より早く、約3週間程度で還付金が振り込まれます。申告状況はe-Taxのマイページから確認できます。
④夫婦どちらで申告すべき?注意点
💡 所得が多い方が申告した方が還付金が多くなります
医療費控除の還付金は「控除額×所得税率」で計算されます。所得が多いほど所得税率が高くなるため、夫婦共働きの場合は所得が多い方が申告するのがおすすめです。妻が専業主婦・育休中・パートで所得が少ない場合は夫が申告した方が還付金が多くなることがほとんどです。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 夫婦の医療費は合算できる | 生計を一にする配偶者の医療費も合算して申告できる |
| 所得が多い方が申告する | 還付金は所得税率×控除額。所得が高い方が申告した方が有利 |
| 5年以内なら遡って申告できる | 過去5年分の医療費控除を還付申告できる(期限なし) |
| 領収書は5年間保管が必要 | 提出は不要だが、税務署から求められた場合に提示できるよう保管 |
| 年末調整では申告できない | 医療費控除は確定申告が必須。会社員でも自分で手続きが必要 |
⑤よくある質問(FAQ)
まとめ|不妊治療の医療費控除は必ず申告しよう
- ✓不妊治療費(保険・自費両方)は医療費控除の対象。世帯合計10万円超で申告できる
- ✓還付金の目安:年収500万円・50万円の医療費なら約8万円の所得税還付
- ✓助成金・保険金・高額療養費は医療費から差し引いてから計算する
- ✓e-Taxならスマホで自宅から申告でき、還付金は約3週間で振り込まれる
- ✓夫婦共働きは所得が多い方が申告した方が還付金が多くなる
- ✓会社員でも年末調整では申告できない。確定申告が必須
- ✓領収書は提出不要だが5年間の保管義務あり。今すぐ整理しておこう
- ✓申告し忘れた年分は5年以内であれば遡って申告できる
不妊治療には多くの費用がかかります。医療費控除の確定申告は、支払った費用の一部を取り戻せる大切な手続きです。e-Taxを使えば自宅から手軽に申告でき、還付金は早ければ3週間で受け取れます。ぜひ毎年の習慣にしてください。



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