不妊治療の医療費控除やり方
完全ガイド
「何が対象になるの?」「いくら戻ってくる?」「確定申告のやり方がわからない」そんな疑問をこの1記事で全解決します。
🧮 計算シミュレーションあり
✅ 対象・対象外一覧表つき
📱 e-Taxでの申告手順解説
医療費控除は申告しないと1円も戻ってきません!
年間の医療費が10万円を超えていれば、確定申告することで所得税・住民税が軽減されます。過去5年分まで遡って申告可能なので、まだ申告していない年がある方もぜひ確認してください。
①医療費控除とは?基本の仕組みをおさえよう
結論:1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費が10万円を超えた場合、確定申告することで超えた分の一部が所得税・住民税の軽減という形で戻ってくる制度です。
不妊治療は体外受精・顕微授精・人工授精など、費用がかかる治療が多くあります。こうした治療費は医療費控除の対象となるため、確定申告をすることで税金の一部を取り戻せます。
12月31日
5年以内
💡 年末調整では申告できません!
医療費控除は会社の年末調整では手続きできません。必ず確定申告で申告する必要があります。会社員の方も自分で申告が必要です。
②対象になる費用・ならない費用(一覧表)
結論:治療を目的とした医療費は保険適用・自費を問わず対象です。ただしサプリメントや妊活グッズなど「治療目的でないもの」は対象外です。
✅ 医療費控除の対象になるもの
| 費用の種類 | 対象 | 備考 |
|---|---|---|
| 体外受精・顕微授精の費用 | ✅ 対象 | 保険・自費どちらも対象 |
| 人工授精の費用 | ✅ 対象 | 保険・自費どちらも対象 |
| 不妊検査・診察費用 | ✅ 対象 | ホルモン検査・精液検査なども含む |
| 処方された薬代 | ✅ 対象 | 院外処方の薬局代も含む |
| 先進医療の費用(ERA・タイムラプス等) | ✅ 対象 | 全額自己負担分も対象 |
| 通院の交通費(電車・バス) | ✅ 対象 | 領収書不要・記録を残しておく |
| 鍼灸・あん摩マッサージ(治療目的) | ✅ 対象 | 国家資格保有者による施術 |
| 紹介状・文書料 | ✅ 対象 | 医療機関への紹介状作成費用 |
❌ 医療費控除の対象にならないもの
| 費用の種類 | 対象 | 理由 |
|---|---|---|
| 妊活サプリメント・健康食品 | ❌ 対象外 | 治療目的ではないため |
| 排卵検査薬・妊娠検査薬 | ❌ 対象外 | 医師の処方でないため |
| 妊活セミナー・書籍代 | ❌ 対象外 | 直接的な治療でないため |
| 通院のタクシー代 | ❌ 原則対象外 | 公共交通機関のみ対象(急病等は例外) |
| 自家用車のガソリン代・駐車場代 | ❌ 対象外 | 公共交通機関のみ対象 |
| 差額ベッド代・入院中の食費 | ❌ 対象外 | 保険診療費に含まれないため |
| 保険会社提出用の診断書料 | ❌ 対象外 | 治療目的の文書でないため |
| マタニティヨガ・ピラティス費用 | ❌ 対象外 | 治療目的ではないため |
💡 交通費は記録が大切!
電車・バスの交通費は領収書がなくても申告できます。ただし「いつ・どこから・どこへ・いくら」という記録を手帳やスマホに残しておきましょう。ICカードの利用履歴も証拠になります。
③いくら戻る?控除額の計算方法
結論:「医療費控除額×所得税率」が所得税の還付額、「医療費控除額×10%」が住民税の軽減額になります。
医療費控除額の計算式
(医療費合計 − 補填額)− 10万円
(医療費合計 − 補填額)− 所得の5%
200万円
高額療養費制度で戻ってきた金額・自治体の助成金・民間保険の給付金などは「補填額」として差し引いて計算します。これらを差し引かずに申告すると過剰申告になるので注意が必要です。
所得税率の早見表
| 課税所得 | 所得税率 | 100万円控除できた場合の還付額(目安) |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 約5万円 |
| 195〜330万円 | 10% | 約10万円 |
| 330〜695万円 | 20% | 約20万円 |
| 695〜900万円 | 23% | 約23万円 |
| 900〜1,800万円 | 33% | 約33万円 |
💡 住民税も軽減されます!
所得税の還付に加え、翌年の住民税も軽減されます。住民税の軽減額は「医療費控除額 × 10%」が目安です。所得税と住民税を合わせると、実際の恩恵はさらに大きくなります。
④計算シミュレーション(具体的な例)
シミュレーション①:年収500万円の会社員夫婦・体外受精2回実施
600,000円
△ 67,570円
532,430円
432,430円
約86,000円
約129,000円
シミュレーション②:年収300万円・先進医療も実施した場合
300,000円
170,000円
30,000円
500,000円
△ 119,000円
281,000円
約56,200円
⑤確定申告の手順(e-Taxでスマホ・PCから完結)
結論:国税庁のe-Taxを使えばスマホやPCから自宅で申告が完結します。マイナンバーカードがあれば最もスムーズです。
📂 領収書・書類を整理する
1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費の領収書を全て集めます。医療機関ごと・月ごとに整理しておくとスムーズです。
- クリニックの領収書(保険診療・自費診療すべて)
- 薬局の領収書
- 通院交通費の記録(日付・区間・金額)
- 高額療養費・助成金の支給決定通知書
🌐 国税庁の確定申告サイトにアクセス
- スマホの場合:「スマホで申告(マイナンバーカード方式)」を選択
- PCの場合:「e-Tax(マイナンバーカード方式)」を選択
- マイナンバーカードがない場合:「書面申告」も可能
📝 「医療費控除の明細書」を作成する
サイトの案内に沿って入力します。医療機関ごとに支払った金額・補填された金額を入力するだけで自動計算されます。
- 医療機関名・支払金額を入力
- 高額療養費・助成金などの補填額を入力
- 交通費も忘れずに入力
📤 確定申告書を提出する
- e-Tax:オンラインで送信(24時間対応)
- 郵送:印刷して税務署に郵送
- 窓口:税務署に持参(2月16日〜3月15日は混雑)
💳 還付金が指定口座に振り込まれる
e-Taxの場合、申告から約3週間〜1か月で還付金が振り込まれます。書面申告の場合は1〜2か月程度かかります。
⑥必要書類チェックリスト
📂 申告時に用意するもの
- 確定申告書(e-Taxの場合は自動作成)
- 医療費控除の明細書(e-Taxの場合は自動作成)
- 源泉徴収票(会社員の場合・勤務先から発行)
- 医療費の領収書(提出不要だが5年間保管)
- マイナンバーカード(e-Tax利用の場合)
- 振込先口座の情報(還付金受取用)
- 高額療養費支給決定通知書(支給がある場合)
- 自治体助成金の交付決定通知書(受けた場合)
- 医療費のお知らせ(健保組合から届いている場合・任意)
⑦夫婦で申告する場合の注意点
結論:夫婦の医療費は合算して1人が申告できます。所得が多い方(税率が高い方)が申告した方が還付額が大きくなります。
| ケース | ポイント |
|---|---|
| 夫婦どちらが申告すべき? | 所得が多い方(税率が高い方)が申告すると還付額が大きくなります |
| 夫婦の医療費は合算できる? | 法律婚の夫婦は合算できます。別々に申告するより合算した方が控除額が増えることが多いです |
| 事実婚の場合は? | 事実婚(同一世帯)の場合、医療費の合算申告はできません。それぞれ別々に申告が必要です |
| 夫婦で別々の健康保険の場合 | 医療費控除は合算できますが、高額療養費は別々の保険での申請になります |
ふるさと納税でワンストップ特例を申請している方が確定申告をすると、ワンストップ特例が無効になります。確定申告書でふるさと納税の寄付金控除も一緒に申告するようにしてください。
⑧失敗しやすい注意点7選
医療費の領収書は確定申告後も5年間の保管義務があります。また申告時の計算にも必要なため、治療中から月別・医療機関別に整理して保管しておきましょう。再発行できないクリニックがほとんどです。
高額療養費・自治体助成金・民間保険の給付金は「補填額」として医療費から差し引いて計算する必要があります。差し引かずに申告すると過剰申告になり、後から修正が必要になります。
電車・バスの交通費は意外と積み重なると大きな金額になります。通院のたびに日付・区間・金額をメモしておく習慣をつけましょう。ICカードの利用履歴も証拠として使えます。
医療費控除の申告は治療を受けた翌年から5年以内に申請できます。過去の分がある場合は早めに確認・申告しましょう。5年を過ぎると申告できなくなります。
夫婦のどちらが申告するかで還付額が変わります。所得(税率)が高い方が申告した方が節税効果が大きくなります。事前に夫婦双方の税率を確認しましょう。
確定申告をするとふるさと納税のワンストップ特例が無効になります。確定申告書の中でふるさと納税の寄付金控除も一緒に申告する必要があります。忘れると節税効果が下がります。
住宅ローン控除などの税額控除を受けている場合、すでに所得税がゼロに近い状態だと医療費控除の恩恵が所得税では得られないことがあります。ただし住民税の軽減は受けられるので申告する価値はあります。
⑨他の制度と組み合わせてさらにお得に
結論:医療費控除・高額療養費制度・自治体助成金の3つを組み合わせることで、不妊治療の実質負担を最小限に抑えられます。
| 制度 | 軽減の種類 | 申請先 |
|---|---|---|
| ①医療費控除 | 所得税・住民税の軽減 | 税務署(確定申告) |
| ②高額療養費制度 | 月の保険診療費上限超過分の還付 | 加入している健康保険 |
| ③自治体の助成金 | 先進医療費・自己負担分の補助 | 都道府県・市区町村 |
| ④付加給付 | 健保組合独自の上乗せ還付 | 勤務先の健康保険組合 |
⑩よくある質問(FAQ)
まとめ|医療費控除は必ず申告して取り戻そう
📌 この記事のポイントまとめ
- ✓体外受精・顕微授精・人工授精・先進医療費は保険・自費を問わず医療費控除の対象
- ✓年間医療費が10万円超(所得200万円未満は所得の5%超)で申告できる
- ✓通院の電車・バス代、処方薬代、先進医療費も忘れずに申告
- ✓高額療養費・助成金などの補填額は差し引いて計算する
- ✓夫婦は合算できる。所得が多い方(税率が高い方)が申告すると有利
- ✓e-Taxならスマホ・PCから自宅で申告完結。過去5年分まで遡れる
- ✓高額療養費制度・自治体助成金と組み合わせると実質負担をさらに軽減できる
医療費控除は申告しなければ一円も戻ってきません。不妊治療は費用がかさみがちですが、使える制度を全て活用することで、実質的な負担を大きく減らすことができます。まずは今年の領収書を集めるところから始めてみてください。

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