不妊の原因は女性側のみが約41%、男性側のみが約24%、男女双方が約24%、原因不明が約11%(WHO統計)です。女性の不妊原因は卵巣・卵管・子宮・免疫の4種類に分類されます。早めに検査を受けて原因を特定することが治療への第一歩です。
①女性不妊の原因の割合(日本産婦人科学会データ)
結論:女性不妊の原因は卵巣因子・卵管因子・子宮因子・免疫因子の4つに大きく分類されます。複数の原因が重なっている場合や、検査をしても原因が特定できない「原因不明不妊」もあります。
※出典:日本受精着床学会・倫理委員会「非配偶者間の生殖補助医療に関する不妊患者の意識調査」をもとに作成
💡 不妊症の定義:1年間妊娠しない場合
日本では、妊娠を望む健康な男女が避妊なしで性交していても1年間妊娠しない場合を「不妊症」といいます(日本産科婦人科学会)。ただし排卵障害・子宮内膜症・35歳以上など、1年を待たずに早めに受診を検討すべき場合もあります。
②女性不妊の4つの原因を詳しく解説
🥚 排卵障害・卵巣の問題
卵巣から卵子が正常に排卵されない状態。月経不順・無月経が主な症状として現れます。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
卵胞が成熟せず排卵されにくくなる疾患。月経不順・肥満・ニキビなどの症状が見られます。不妊の女性の約5〜10%がPCOSと診断されます。排卵誘発剤で治療することが多いです。
早発卵巣不全(POI)/早発閉経
40歳未満で卵巣機能が著しく低下し、月経が止まってしまう状態。AMH値が極端に低くなります。
高プロラクチン血症
母乳を分泌するホルモン(プロラクチン)が過剰に分泌され、排卵を抑制します。産後でなくても発症することがあります。
甲状腺機能異常
甲状腺ホルモンの過剰・不足は月経不順・排卵障害を引き起こします。不妊検査で甲状腺ホルモン検査を行うことが重要です。
🔗 卵管の異常・閉塞
卵管が詰まっていたり(閉塞)、卵管の動きが悪い(癒着)場合、卵子と精子が出会えず受精できません。自覚症状がほとんどないため気づきにくい原因です。
卵管閉塞・卵管狭窄
クラミジア感染症・骨盤腹膜炎・過去の手術などによる癒着が原因で卵管が詰まります。子宮卵管造影検査(HSG)で発見できます。両側が閉塞している場合は自然妊娠・人工授精は不可能で、体外受精が必要です。
子宮内膜症
子宮内膜の組織が子宮以外に増殖する疾患。骨盤内癒着を引き起こし卵管・卵巣の機能を妨げます。不妊患者の15〜25%に子宮内膜症があるとされています。月経痛が強い方は特に注意が必要です。
卵管水腫
卵管内に液体が貯留した状態。着床を妨げるため体外受精の成功率にも影響します。
🏠 子宮の形態・機能の異常
子宮の形・内膜の状態に問題があり、受精卵が着床しにくくなる原因です。超音波検査や子宮卵管造影検査で確認できます。
子宮筋腫
子宮の筋肉にできる良性腫瘍。位置・大きさによっては着床を妨げます。粘膜下筋腫(子宮内腔に突出するタイプ)は着床への影響が大きく、手術が検討されることがあります。
子宮内膜ポリープ
子宮内膜に良性のポリープができ、着床を妨げます。子宮鏡検査・超音波検査で発見でき、手術(子宮鏡下切除術)で治療します。
子宮奇形(双角子宮・中隔子宮)
先天的な子宮の形態異常。着床しにくい・流産しやすいなどの原因になります。
慢性子宮内膜炎
子宮内膜に慢性的な炎症が続く状態。着床不全・反復流産の原因になります。ALICE検査や子宮内膜生検で診断します。
アッシャーマン症候群
子宮内操作(搔爬手術など)後に子宮内腔が癒着する状態。月経量の減少・無月経が症状として現れます。
🛡️ 免疫・その他の原因
抗精子抗体
精子を異物と認識して攻撃する抗体を持つ状態。精子の運動性を失わせ受精を妨げます。抗体価が高い場合は人工授精での妊娠が難しく、体外受精・顕微授精が推奨されます。
着床障害・反復着床不全
良質な胚を移植しても着床しない状態。子宮内環境・免疫・血液凝固異常などが原因となることがあります。ERA検査・血液凝固検査・免疫検査などで原因を探ります。
❓ 原因不明不妊(機能性不妊)
すべての検査を行っても原因が特定できない「原因不明不妊(機能性不妊)」は、不妊治療クリニックを受診するカップルの10〜30%を占め、最も多いカテゴリーです。
原因が特定できなくても治療は可能で、タイミング法・人工授精・体外受精と段階的に試みることで多くの方が妊娠しています。「原因不明=治療できない」ではありません。卵子・精子の機能低下が背景にある可能性もあり、年齢が上がるほど原因不明不妊の割合が増えることが知られています。
③年齢と不妊率の関係
結論:女性の不妊率は年齢とともに急上昇します。30代後半からは特に顕著で、40歳以上では約64%が自然妊娠の望みがなくなるとされています。
| 年齢 | 不妊率の目安 | 推奨アクション |
|---|---|---|
| 20代前半 | 約5%以下 | 妊活を始めて1年様子を見てから受診 |
| 20代後半 | 約9% | 1年妊娠しなければ受診を検討 |
| 30代前半 | 約15% | 半年〜1年で受診。早めの検査が安心 |
| 30代後半 | 約30% | 半年で受診。早めのステップアップを検討 |
| 40歳以上 | 約64% | 妊娠を望んだらすぐ受診。保険適用の期限(43歳未満)を意識 |
※出典:Menken J, Trussell J, Larsen U. Age and infertility. Science. 1986をもとに作成
④よくある質問(FAQ)
まとめ|原因を知ることが治療への第一歩
- ✓不妊の原因は女性側のみ約41%・男性側のみ約24%・双方約24%・原因不明約11%(WHO)
- ✓女性不妊の4因子:卵巣因子(約20%)・卵管因子(約20%)・子宮因子(約18%)・免疫因子(約5%)
- ✓月経不順・強い月経痛は排卵障害・子宮内膜症のサインである可能性がある
- ✓卵管因子は自覚症状がほとんどない。子宮卵管造影検査(HSG)での確認が重要
- ✓不妊率は年齢とともに上昇。30代後半で約30%・40歳以上で約64%
- ✓原因不明不妊は10〜30%と最も多い。原因が不明でも治療を進めることで妊娠できる
- ✓夫婦で一緒に検査を受けることが重要。男性側の検査も忘れずに
「なかなか妊娠しない」と悩んでいる方は、まずは検査を受けて原因を特定することが大切です。原因がわかれば、それに合った治療を選ぶことができます。35歳以上の方は特に早めの受診をおすすめします。



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